どうも。戸津坂京介と申します。
先日第7回カクヨムコンテストがエントリーを開始致しまして、その機に際して公式からこんなツイートが投下されました。
こちらは検索PVといって簡単にいうと「そのキーワードが検索された回数」を指します。
そしてそれに関しての私の反応がこちらです。
今考えたら世界が揺らぐは言い過ぎである可能性があります。ですが、重要な情報であることには間違いありません。
さて、そんな私は何者かと申しますと、このサイトを設立する以前は二年ほどブログを運営しておりましたブロガーでございます。ブログ内では古典文学を主に取り扱っておりましたが、私自身には小説を執筆した経験はございません。
書きたいと思い準備は進めているのですがね。さて、そんな素人に何が語れるのか。
小説を書いてこなかった私だからこそ、ブロガーとして「検索情報の正しい使い方」の知識には一日の長がございます。
ブロガーという人種は今回カクヨム様が公開されたような「検索キーワード」を調べることに滅茶苦茶時間をかけます。私はSNSメインなのでそこまで気にしていないですが、Googleでの検索をメインになさっておられる方は「検索キーワード」を調べるために、「Googleアナリティクス」「Searchコンソール」「Googleアドセンス」「ラッコキーワード」「Omusubi」「RankTracker」といったツールを使います。
これら全てのツールが、一つのページの「検索キーワード」を調べるために使用されるのです。中には記事を書くよりキーワードを調べている時間が長いという方もいらっしゃいます。ブロガーという人種にとってはブログが読まれることが全てで、収入を全てそこに賭けているためその判断には当然必然性があります。
そして、その考え方は「小説投稿サイト」にも応用できるのです。
それほどまでに重要だと認知だとされている検索キーワードの推移がたったの150RTほどしかされていない(2021/12/02時点)事実は驚くべきことだと思います。
目次
検索PV数の概算
現在検索PVの絶対数を知る術はありません。 一応「小説家になろう」様の方にメールでご確認をしたのですが、公開はしていないし、確認する方法は用意していないとのことでした。
しかし諦めが付かず、今回はカクヨムのアクセス数をツールを使って調べてみました。AIの計算によると大体月300万人がカクヨムに来訪し、その内3割が何もせずに帰るだろう、ということがわかりました。しかしあくまでAIの計算によるものであるため正しいのかは不明です。なんも分かんねえな。
まあそれでも直観に従った概算をしてみましょう。文系による精一杯のフェルミ推定というやつですね。

今回は2021年9月の例を取ってみます。
このトップの「ざまあ」を実際に検索した人は何人なのかを概算してみます。
まず訪れた300万から直ぐに3割帰って210万、そのうちタグ検索を使用する人数は少な目に見積もって4%としましょう。すると大体8.4万人がタグ検索を使用することになります。
そしてそこからランク1位のざまあを調べた人は20%だとします。すると大体1万6000人の人が調べたということになります。
ざっくりしていますね~。もし直観に合わなければ間に入った数値を変更して計算してみてください。ですが、なんだかんだ常識的な数字を当てはめた場合、大体3000~5万くらいの数字に収まるのではないでしょうか。
意外と少ないなと思われました?あるいは、今まで大雑把にタグをつけてこられた方は「あれ?私読者数千人規模で捨ててない?」と思われたかもしれません。
実際にはタグ検索されても埋もれてしまって見つからない可能性も多大にあり、そこから更に数字を割らなければいけませんが、カクヨムの場合8つのタグをつけられますので、全てのタグを合わせると数千人捨てている可能性はありますね。
しかし今この概数を見て「人気タグをつけられる作品を書かなきゃ!」と思った方や、「何だこのサイト?人気テンプレを俺様に書かせようってかぁ?」と思われた方、ちょっと待ってください。
こんなサイトを作るくらい小説を愛した男が皆様に数字を追って小説を書け!というでしょうか。うん、いつか言うかもしれませんが、ここでは言いません。「タグ検索数」というものは、皆様にもっと深いことを教えてくれるのです。
タグ検索であなたのことを知った1万6000人は新着更新を目にする300万人よりずっと価値のある1万6000人である。ということを皆様にこれからお教えしていきたいと思います。
ちなみになろうの場合は結果を大体十倍すれば似たような計算が成り立つと思います(文系のカスのフェルミ推定もどきですので過信なさらないように)。
小説の人気を決定する3要素
なぜタグ検索が重要なのか。それは「小説の人気を決定する3要素」の全てに対策が出来るからです。

こちらがその三要素で、サイト内における作品の人気は全てこの要素のみで決定されます。
あなたの作品のタイトルが表示された回数が1万回、そこからあらすじなどを読んで興味を持った人によるクリック率が10%、そこから小説を面白いと思い☆までつけてくれた人の割合を指す評価率が3%だとして計算すると
10000×0.1×0.03=30人
となり、あなたの作品を評価した人数は30人だということになります。どうです?とても当たり前でしょう?
ですが、今まで実感が伴っていなかったり、あまり考えた事がなかったという方もいらっしゃるのではないかとは思っております。
さて、重要なのは掛け算であるという点で、どれだけ他の要素が良くとも一つが劇的に劣っていると評価人数も劇的に下がってしまうというのがこの式の特徴です。
この式はブログをやっていた頃に耳にタコができるぐらい教え込まれました。それはブログの場合気を抜くとどっかが0になっちゃう可能性があるからですね。どこかが0になると掛け算である都合上全てが0になってしまいます。
私はこの教えを無視して「まだ日本語に翻訳されていない古代文明の本」を紹介していたのですが、そもそも誰も知らない本だったために誰にも検索されず、表示された回数が0になってしまったことがあります。馬鹿ですねー。
その分なろうやカクヨムは新着更新が表示されるおかげで自動的に数人は読んでくれてPV0になることはほとんどないのですが、逆にそれが油断を招いているともいえます。
新着更新の表示に頼っているのは愛娘を0歳で捨てて、拾われて成長してくれ!と祈っていることと同義ですので、作品を作ったあとのこともよく考えましょう。
そしてそういったアフターケアにおいてこそ、タグ検索の研究は欠かせないものなのです。
先程の三要素を最大化するためには何が必要かを考えてみましょう。

まあ、大体「それはそうだな」という内容の列挙ではあると思います。評価率の箇所に引きの強さと書いたのはフォローやブクマのことを考えたのですが、私自身「引きの強さ」と評価が関係あるという指標は持っていないので無視していただいて大丈夫です。
ともかく、この9つの要素が最大化されていたら作品の人気は確固たるものです。もちろんあとがきに「ブクマしてください!」と書いた方がいい!だとか、○○ブースト!みたいなハックは諸々あるとは思いますが、とりあえず「芯食ってる」のはこの9つだと思います。
そしてこれらの三大要素全てに「検索キーワード」は活かすことができるのです。
さて、ここまでが前置きとしてようやく「タグ検索PV」がこれらの3要素がどのように活かされるのかをお話していきたいと思います。
「タグ検索数」は全てを教えてくれる
ここまで私が書いた内容をお読みになった方の中には、私を敵と認識し始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか?タグが大事だといったり、作品の人気の求め方を紹介したりと、
「こいつ人気タグの小説を書かせようとしているな?」「こいつ読者を数としてしか捉えていないな?」という風に警戒なさっていると方もいらっしゃると思います。
違います。全くそんなこと言うつもりはありません。
むしろ不人気タグを中心に作品を書かれている方や、読者を大切にしたいと思われている方にこそ、ここからの内容を読んで頂きたいと思います。
さて、先程ブロガーは検索キーワードを滅茶苦茶調べるという話をしたと思いますが、それは検索に引っかかることのみを目的としているわけではありません。検索キーワードは「検索者が必要としていること」を示してくれているのです。

こちらは私がこのページを書く前にタイトルからの検索数を確認してみたものです。検索数は少ないですが、まあこんなものです。
さて、注目すべきは
カクヨム 読まれない
のワードです。これを調べる方は月100人以上いらっしゃるということで、大問題ですね。
さて、それを踏まえた本ページのタイトルは
【あなたは読者をフっていませんか?】なろうやカクヨムで読まれない人は「検索PV」を捨てているかもしれません!
となっております。ん~、いかにも煽ってそうで美意識に反しますね。ですが、必要とされているのはこういうことなのです。
「カクヨム 読まれない」で検索する人はカクヨムに投稿した小説が読まれなくて困っており、欲しがっているのは「カクヨムに投稿した小説が読まれるようになる方法」です。
今回私がしてみたように、調べなければ見えない様々な数字を扱って自分のページを読ませようとする行為は汚らわしく思われるかもしれませんが、このページの情報は有益だと自分自身が思っておりますので、むしろ開かれやすいようにタイトルをつけることは美学だと思っています。
この手法を「タグ検索」に当てはめて考えてみた結果、とても面白い事実が分かります。
多くの人はタグをつけて、ほったらかしにしている。
例えば「ざまあ」のワードで検索している方はすっきりする展開がみたいので、どういったざまあが行われるのかがあらすじに書かれていないと開きたいと思いづらいですよね。
また「ヤンデレ」のワードで検索する方はヤンデレのヒロインがどういう活躍するかを知っておきたいと思っていることでしょう。あらすじでヤンデレに監禁されるシーンが確約されていると開きたくなる可能性が高いです。最近のヤンデレはあまり主人公に害を及ぼさない依存タイプだからそこは難しいですが、
ともかく、滅茶苦茶当たり前のことばっかりいうのですが、あなたの作品を読者様タグ検索で見つけられた時に、あなたのあらすじを読んで開くのか?その点を意識しておかなければ、いくら人気のタグをつけていてもクリック率が上がらず、小説も伸びません。
反対に考えると、ヤンデレのタグで検索する方は「滅茶苦茶ヤンデレものを読みたい方」なので、そのニーズを満たせる自信をあらすじやタイトルで示していられればそのクリック率は通常目についた場合の数倍高いものとなります。
そして私はこうも思います。タグ検索に合わせてあらすじを変更することこそが最も読者に寄り添う行為だと。
考え方の実例
さて、今までの話をまとめると「タグ検索で自分の作品を見る人物のことを想定してあらすじを書こう」ということです。マーケティング界隈ではペルソナを設定するとかいいますが、冷静に考えて新着更新とSNS発信以外に人の目につく機会がタグ検索のみだという方はそれぞれ設定したタグで検索した人が読みたくなるあらすじを設定した方がいいです。
大事なのは自分の作品が評価されるための道筋を作ることですからね。カクヨムでタグ検索をなさる8万人は、読みたい小説がある方です。是非読ませてあげましょう。
もしその要素を作中で満たしているからといってタグにのみ「ヤンデレ」をいれてあらすじに「ヤンデレ」のキャラクターの活躍を書かないのは、潔いといえるかもしれませんが、読者の気持ちに寄り添っているかと言われれば疑問が残ります。
さて、ここからは具体例を示したいと思います。

本日2回目の登場となるこのタグランキングから抽出してみます。
カクヨムにつけられるタグは8個ですね。上から順に「ざまあ」「ヤンデレ」「ハーレム」「主人公最強」「NTR」「百合」「異世界転生」「Vtuber」でいきましょうか。
それぞれのタグを調べる方がなにを求めているか考えてみましょう。
「ざまあ」・・・ストレス展開から解放されるカタルシスが欲しい
「ヤンデレ」・・・強く愛してくれるヒロインが欲しい、あるいはヒロインの恋に揺らぐ心理描写が凝っている作品が好き
「ハーレム」・・・多くのヒロインが登場する作品、転じてヒロインが多様化されキャラが特徴的なヒロインの登場する作品を読みたがっている可能性がある。また「いちゃらぶ」や「あまあま」といったジャンルと同時に好まれるか。
「主人公最強」・・・欲しいのは無双的爽快感か、あるいはシリアス展開がどうしても読みたくない場合に使う保険か。もし後者であれば他のタグとの併用難易度が多少上がる。
「NTR」・・・寝取られ。登場人物が必然的に三者必要で、各人はどのキャラの目線に立つかを委ねられる。だが、他のタグとの併用が非常に難しい。ちなみに苦手な人も多い。
「百合」・・・百合が好きな人はこういう雰囲気が好き!みたいなイメージがある方も多いかもしれないが、私は定義したくないのでここでの言及は控える。だが私は百合に大事な要素はエモであると思っているためエモ要素を入れたい。
「異世界転生」・・・言わずと知れた。異世界転生と検索する人の気持ちを考えることは私にとっては非常に難しい。だが、一つ推測するとアニメ化された作品などに転生モノが多いため、それらの作品をみて、「似たような作品を見たい!」と思った人が多い可能性がある。今回はそれを想定してみる。ちなみにもしそういった動機でサイトを訪れたのであれば「異世界転生」と検索するのは修羅の道だと思われる。
「Vtuber」・・・Vtuberが好きであることは確かだが、根底には「理想のVtuber」が大活躍する世界線を見たい!という要素も大きいような気がする。
ということでこれら8つのタグで構成された作品のあらすじはこういうものになると思います。
タイトル:女子高で彼女を先輩にNTRた私が異世界でVtuberをする話。~ヤンデレの元カノに身バレしないかヒヤヒヤです~。
あらすじ:空き教室の約束は曙光と共に消え去った。鶯坂女子高の二年生である園田理沙は、毎朝早くに登校して幼馴染の小川唯香と話す時間が楽しみだった。しかしある日、鶯坂女子高で最も人気のある秋先輩と唯香が口付けをする姿を目撃してしまう。
それ以降二人は話す事もなく、梨沙が心臓を患っても唯香はとうとう病床を訪れることはなかった。
「ねえ唯香…。どうして何も話してくれなかったの?なんで二人の約束の場所で秋先輩とキスしたの?」
梨沙は悲嘆にくれたまま死を迎える。しかし、目が覚めると梨沙はスマホを手に異世界の森にいた。梨沙は突然の転生に戸惑いつつもスマホを活用し異世界を闊歩する。
「ってあれ?このアカウントって小学校の頃の唯香?」
転生の際にタイムラグが生じたのか、異世界からアクセスした地球は梨沙と唯香が初めて出会った10年前だった。
唯香が幼少期から梨沙にも言えない闇を抱えていたこと、自身がそれを気づけていなかったことを知った梨沙は過去のSNSを通じて事態の真実を突き止める。
秋先輩が唯香の秘密を悪用していたことを知った梨沙は、異世界から名前も顔も明かさずに過去の唯香を救うため、世界初のVtuber「園川梨香」として活動を開始し、秋先輩への復讐と唯香の救済を果たすのだった。更には「園川梨香」の活動は日本のVtuber史をも変えていくこととなって…。
ってあれ!?どうして唯香も秋先輩もVtuber「園川梨香」にドはまりしてるの!?ってか異世界にいることがバレてる!?
厄介ストーカーのようにSNSを監視してくる二人の目から梨沙は逃げ切ることができるのか!?さらに異世界にも厄介ストーカーが表れて…!?
NTRから始まる異世界百合ハーレムストーリーが今、始まる。
と、こんな感じでしょうか。どのタグから来た人もある程度読んでみたくなるようなあらすじが作れたかなと思います。ですが、「異世界転生」「主人公最強」の検索で訪れた方のニーズは満たせていないように思えます。
その場合は内容を歪めず「寝取られ」のタグを追加したいと思います。内容を歪めるのではなく、あくまで意識することは「タグ検索であらすじを読んだ人のニーズを満たせているか」です。
今回は人気のタグを使っていますが、あなたの小説についた8つのタグは人気タグだろうが不人気タグだろうが立派な武器ですので、それを最大限活かすあらすじを書ければアクセスの向上につながるのではないかと思います。
是非一度ご自身の作品のタグを確認し、そのタグを検索する人の気持ちになって、あらすじを読んで作品を開くか考えてみてください。
ちなみに満たせていない場合、タグがあらすじどちらを変えればいいかは場合によると思います。上部のカクヨム公式Tweetを参考に決めてみましょう。
おわりに
ちなみに先ほどの『女子高で彼女を先輩にNTRた私が異世界でVtuberをする話。~ヤンデレの元カノに身バレしないかヒヤヒヤです~。』はなろうのあらすじを判断してくれる「なろうRawi」様ではこういう結果になっておりました。

ブクマ数の中央値は0だそうです。データを基にされた値ですし、製作者の方が書籍化作家ということでこちらをあらすじの参考にするのも大いに結構かと思います。
ですが、今回の記事の内容と点数は両立できるものであると思いますので、利用される方も検索される方の意識を考えてタグとあらすじを掲載なさるとよいかと。
あらすじの点数も高かったらワンチャン思いつきで『女子高で彼女を先輩にNTRた私が異世界でVtuberをする話。~ヤンデレの元カノに身バレしないかヒヤヒヤです~。』を書いていたかもしれないのでよかったです笑。
真面目な話、私自身ブログを通した経験で「検索した読者の気持ちに立つ」ことが重要なことは実感しております。小説のクオリティを上げ評価率を上げるのと、あらすじのクオリティを上げクリック率を上げるのでは労力が全く違うのですが、実際に得られる効果は同じです。
そして「あらすじ」のクオリティを上げるというのはどういうことかというと、「あらすじを見てくれる人がどういう人か考えること」であります。

この図ではそれぞれの要素が分かれているように思えますが、実際には「作品の表示率」と「クリック率」と「評価率」は独立した要素ではなく、「作品の表示率」が分かった段階で残り二つの要素は決定されます。読者の方が評価してくださるまでの道筋が実際に存在しているかどうかを今一度ご確認くださればと思います。
ちなみに私は今回タグに合わせて作品を変えるのではなくあらすじとタグで対応しろ的なことをいっていますが、丸っきりタグ目当てで小説を書く行為も全然悪い事だとは思っていません。意識がどうであれできるものは小説ですからね。
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