どうも。WEB小説の情報サイトを運営しています。戸津坂京介と申します。
突然ですが、皆様はネット小説を読まれますか?私は読んでます。
ですが、最近気になる事があります。
【ドラゴンボール】←いや「戦闘力が低すぎて母星を追放された下級生戦士のオラが辺境の星で修行していたらいつの間にかエリート戦士を超えていた件。今さらライバル心を燃やしてきてももう遅い」だよね?
【鋼の錬金術師】←いや「真理の扉を開いた俺、チートスキルを貰って無双する」だよね??????
と、鋼の錬金術師は実際には無双してないにせよ、こういうスレタイを最近割と良く見ます。
これはつまり、「お前らなろう系馬鹿にするけど名作と呼ばれる物語も同様のストーリー展開だよね?」という言葉の裏に前提としてなろう系に対する敵愾心があり、言外になろう系を馬鹿にしている運びになります。
まあ、身も蓋もない事を言ってしまえば職業漫画家の方の作った物語とアマチュアのWEB小説作家の作った作品を比べること自体どうなんだ。といった主張もできます。
というか主張しておきます。
しかし最近思う事があります。そろそろ「なろう系」というジャンルについて再考する必要があるのではないかという事です。この記事のタイトル『「なろう系」は文学の衰退を招くのか。』はずっと頭の中で考えていたものです。いずれ本を書くことがあればと考えをまとめていたのですが、本を書く機会などあるはずもなかったのでここに記しておくことにしました。
本のタイトル向けということで引きは強かったんではないでしょうか.。ですがもちろんこんなサイトを作っていることからも分かる通り、私は完全「なろう擁護派」です。
そもそもなろう系とは何か?どういった批判があるのかというものをまとめてみました。
・文章力が低い
・似たようなコンセプトばかりで独自性がない
・チートやハーレムといった要素から作者の低俗な人間性が知れて嫌だ
・時代考証が足りていないなどの理由でリアリティがない
といったものがあります。
私が言ったんじゃありませんからね!
ですが、私が擁護したいのはここじゃありません。本当は擁護したくはあるんですが、いずれも主観的なものですし、正直そう思われてもどうしようもないというところが大きいです。
ですが、ここからが問題です。
- 文章力が低い
- 似たようなコンセプトばかりで独自性がない
- チートやハーレムといった要素から作者の低俗な人間性が知れて嫌だ
- 時代考証が足りていないなどの理由でリアリティがない
から、読みたくない。
ならいいんです。ですがたまに
から、文学の衰退を招いている。
といったことを言う人がいるんですよね。いや、本当にいるんです。
主張的には駄文と多く触れ合った人は駄文を産み出すようになる。という事だと思います。
この主張自体も問題はないです。事実は分かりませんしね。
問題なのは、駄文を大量に産み出す人がいたからといって文学は衰退するか?ということです。そもそもWEB小説だからといって駄文だとは思わないですのですが、重要なのは歴史上そんな名文を書くような奴ばっかりなのかという事です。
そもそも文学なんてそんなもん
例えば戦時中に大量の一般人が自身の不幸を描いた小説を書いていたり、我らがJ・R・R・トールキンが『指輪物語』を書いた際には数百という後追い小説が書かれたと言われています。
しかし、文学がその頃に衰退しているかといえば、好みにもよると思いますがそんなことはないと思います。モダニズム文学面白いですしね。
そもそも基本的にファンタジーとポルノ小説はヒット作が出ると後追い小説が大量に出ます。もちろんある程度小説が大衆化された時代以降の事ですが。
私自身ファンタジー文学の研究、それっぽく言えば幻想文学の研究といったものをやってきたのですが、今のファンタジー業界は過去のファンタジーの積み重ねで出来ています。
それは例えば紀元前の『サルゴン王伝説』は『NARUTO -ナルト-』と同様の展開がある!とかそういうレベルじゃありません。
会話の流れ、文法、キャラクター像などが時折、どこかの天才によって誕生し、大勢の作家にパクられ、陳腐化していく。というのが大まかな流れになります。
例えばエドガー・アラン・ポーによる、読者も一緒に謎を解けるという喜びを発明した『探偵小説』などは一気に陳腐化しました。
ちなみにさらっとポルノ小説は流しましたが、ポルノ小説はこの世で最も人気なファンタジージャンルの一つという考えもありますので、まぁそういうことです。Twitterのエロってたまに変なコンセプトが流行って一斉に真似されたりするじゃないですか。そんな感じです。
ここまで色々と語りましたが、何が言いたいかというと「なろう作品がつまらないから読まない!」というのは全然構いませんが、「なろう文学が日本文化のレベルを下げている!」とかそういう意見は全く的外れだということです。
これから書こうと思っている人も「面白いからこの作品を真似したい!けどそんな事はよくないよね…」という方もいらっしゃるかと思いますが、安心してください。文学史なんてそんなもんです。もちろん好きな小説の軸となっている特徴を丸々パクるなどはよくありませんが、テンプレと呼ばれるものに乗っかるのは古今東西行われてきたことです。
オリジナルは最高で、テンプレも最高です!
さて、ここまで読んでくださった方本当にありがとうございました!
突然こんな記事を書いたのには訳がありまして、実は私、ネット小説において多くの作品の舞台となる異世界に数多の共通点が存在する現象「ナーロッパ」が好きで、それについて考察した記事を書きたいと思っています。
その時にいきなり「ナーロッパ」について書いた記事を書いてしまうと、感じ悪いなあと思いまして私の「なろう系」についての立ち位置をはっきりさせておこうと思ったのが事の運びです。
皆さんもなろう系に関する思うところがあるかと思いますので是非コメントしてくださったら幸いです!
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